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配当利回りと同じくらい重要な増配と増配率とは?
購入銘柄を選定する際に配当利回りを気にする方は多いですが、その銘柄が「増配しているか」、「増配率はどの程度か」を確認している人はあまり多くないのではないでしょうか。「増配」とは、前期よりも配当を増やすことです。「増配率」とは「1年でどれくらいの割合で配当金を増やしているか」をパーセンテージで示した数字です。例えば、1株当たりの配当金を10円→12円→14.4円の場合は増配率20%です。高配当株の銘柄選定する上で、その企業が「増配傾向にあるか?」、「増配率はどの程度か?」を確認することはとても重要です。
投資家にとっての増配の重要性
「増配株」と「増配しない株」では、投資元本の回収までの期間が大きく変わります。
例えば、全く増配しない銘柄の配当で、元本を15年で回収するには、税金20.315%を考慮すると15年間常に8.37%の利回りが必要です(ただ15年間8.37%の高利回を維持する銘柄はほとんど存在しません)。
一方増配銘柄であれば、以下の表のように税引前配当利回り1.88%の銘柄の増配率が19.1%であれば、15年間で配当だけで投資元本回収できます。(現在の日経平均の単純な税引き前配当利回り平均は2.01%程度です。全業種の平均増配率は9.4%です。増配率20%の銘柄はまあまあ存在します。)
当初受け取れる配当利回り(税引後) | 必要な配当利回り(税引前) | 投資元本回収に必要な増配率 |
3.0% | 3.76% | 10.6% |
2.5% | 3.14% | 12.9% |
2.0% | 2.51% | 15.6% |
1.5% | 1.88% | 19.1% |
上記から分かるのは、増配しない配当利回り8.37%の銘柄と、増配率19.1%の配当利回り1.88%の銘柄は、配当金だけで元本回収に要する期間が15年で同じということですね。おまけに16年目以降は増配率19.1%の銘柄の方が配当金額が大きくなります。いかに増配率が重要かが分かりますね。
このあたりは以前ZAIで、個人投資家の立川一氏が著した”「配当利回りが高い株」に投資するよりは重要なのは、「増配傾向にある株」を選んで投資し続けること!”という記事に詳しく書かれています。
※立川一氏は2004年から投資を初め、合計元金約4000万円で、2017年時点で1億5000万円(現在はもっと資産大きくなっているはず)、年間配当額300万円以上を得ている個人投資家の方です。
とても示唆に富む記事なので是非読んでみてください。
増配傾向にある銘柄の選び方
増配傾向にある銘柄かどうかを確認するには以下のIRバンクが便利です。
一番上の箇所に”証券コード”もしくは”社名”を入力し、”銘柄TOP”の社名をクリックし、左側の”決算”→右上の”配当”をクリックすると”配当金の状況”が2010年頃~直近まで表示されます。
例えば、私が10年以上株を保有し続けている伊藤忠商事の過去の配当履歴は、IRバンクで以下のように確認できます。
①🔍「証券コード、社名」の箇所に”8001”、もしくは”伊藤忠商事”と入力
出典:IRバンク
②左側の「決算」をクリック
③右上の「配当」の箇所をクリック
④「配当金の状況」の中の、「合計」箇所の数字を確認
伊藤忠商事の2010年3月期の1株当たりの配当金は15円ですが、2011年3月期は18円、2012年3月期は44円と次第に増配しているのが分かります。2024年3月期の配当金は160円です。なんと、2010年15円だった配当金が、2024年には160円と10.7倍に増えています。2010年から伊藤忠商事の株を保有し続けている人は、配当金が10倍以上になっているのですから、増配が将来の配当金に与えるの影響の大きさが分かります。
ただ立川氏も書かれているように、過去の増配率が今後も継続するとは限らないので、増配傾向にある銘柄を毎年複数購入していき、その中から想定以上の増配率の銘柄、想定以下の銘柄が出てくるだろうが、ポートフォリオ全体で増配傾向が続いていれば良い、という考え方が良いのではないでしょうか。
まとめ
購入対象銘柄の配当利回りを気にする方は多いですが、過去の増配履歴や増配率まできちんと確認している人はそこまで多くないのではないでしょうか。増配率は、現時点の配当利回りよりも、将来の配当金に大きな影響あります。配当を得る目的で高配当銘柄選定する際には増配傾向にあるかどうかきちんと確認することをお勧めします!
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